独奏譜
【編成】
コントラバスソロ(Unaccompanied Contrabass/Double Bass Solo)
【難易度】5.上級者向き
【原曲】
"Clair de lune" from
Suite bergamasque / Claude Debussy
【編曲】
小室昌広 (Masahiro Komuro)
【演奏時間】約6分
ドビュッシーのピアノ曲「月の光」を、伴奏のないコントラバス独奏曲として編曲しました。
この編曲は、2024年11月22日に文京シビックホールにおいて、黒木岩寿氏によって初演されました。当日の演奏会は、東京フィルハーモニー管弦楽団のコントラバス奏者10人によるアンサンブルで行われ、この作品は全プログラムの冒頭に演奏されました。演奏会は長く続く室内アンサンブル演奏会シリーズの一環であり、「月の光」を演目に含めることが決まっていました。黒木氏から無伴奏独奏での演奏を依頼された際、最初は戸惑いましたが、コントラバスのフラジオレットを多用できることに気付き、様々な可能性を追求しながら編曲を進めました。その結果、特異でありながらコントラバスならではの幻想的な響きを持つ楽曲に仕上がったと感じています。
原曲は変ニ長調ですが、コントラバスのフラジオレットを効果的に活用するため、ニ長調で編曲しています。楽曲の構造はオリジナルと同じですが、演奏の効率と効果を高めるために、創意工夫を施しデフォルメしました。特に冒頭部分は、旋律がはっきりと浮かび上がらない演奏方法を取り入れ、雲間から覗く月とその一瞬の煌めきを表現しています。
【譜面の記載方法について】
この編曲では、全編にわたりフラジオレット奏法を駆使しています。そのため、正確に演奏できるように、特殊な記譜方法を採用しました。
・人工フラジオレット(基音を押さえて開放弦の倍音とは異なる音を得る奏法)は使用していません。
・フラジオレットの音を得るために弦に触れる場所は、菱形の音符で表記しています。これを実音符と区別しやすいように中空にしていますが、音価は通常の黒丸の音符と同じ扱いです。
・指定された音符を演奏する弦は、音符の下に円で囲んだ数字で示しています(G線から順に1〜4)。同じ弦を連続して使用する場合は、横線を引いてその範囲を示しています。
・二つの弦を使って和音を作り、その中にフラジオレットまたは開放弦が含まれる場合、人工フラジオレットと混同しないように、音符の棒を左右に振り分けています。左側の音符が体から遠い弦(細い弦)を示し、視覚的にも識別しやすいようにしています。上が実音符で下に菱形音符がくる和音の場合は、混同の恐れがないため縦に並べています。
・一つの弦上の二箇所に触れて、より高次の倍音を得るフラジオレットは、菱形音符を縦に並べて弧線で繋いでいます。
・押さえる音と触れる音が異なるフラジオレットについては、初出の箇所で引き出す音を注釈譜として上に添えました。また、実際に出る音が分かりにくい部分では、実音を示した譜面を上に併記しています。
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